杉本文楽 曾根崎心中

3 見どころ

  1. 現代美術作家・杉本博司がおくる「人形浄瑠璃」の世界
    「能」を作品化するなど、近年伝統芸能に意欲的に取り組んできた杉本博司が新たに挑んだのは「人形浄瑠璃文楽」。江戸・元禄時代の近松門左衛門の代表作『曾根崎心中付り観音廻り』に独自の解釈を加え、構成・演出・美術・映像を手掛けます。
  2. 『曾根崎心中』の原文が復活
    現在、人形浄瑠璃文楽の公演演目『曾根崎心中』(現行曲)は、演出の都合上、原文の一部が割愛されたものになっています。『杉本文楽 曾根崎心中』では、原文に忠実な舞台化をめざすために、上演台本には、2008年に富山県黒部で発見された初版完全本(通称:黒部本)を原典として使用、原文にある「観音廻り」を見事に復活させました。1703年の初演作品が現代によみがえります。
  3. 鶴澤清治(三味線)と現代美術作家・杉本博司との夢の共演
    杉本博司のコンセプトに賛同した人間国宝・鶴澤清治が、近松の完全版ともいえる『杉本文楽 曾根崎心中』を共作。誰も観たことのない「文楽」に挑み、新たな魅力を繰り広げます。

    <鶴澤 清治(つるさわ せいじ)プロフィール>
    1945年大阪生まれ。人形浄瑠璃文楽座・三味線。1953年、8歳で四世鶴澤清六に入門。39年に十世竹澤弥七の門下となる。30代前半から13年間、人間国宝・四世竹本越路大夫の三味線をつとめる。2004年に日本芸術院賞恩賜賞受賞。2006年に紫綬褒章受章。2007年9月に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、「三味線格」になる(三味線弾きとしての最高格)。

  4. 「観音廻り」で桐竹勘十郎が一人遣いを復活
    『曾根崎心中』の初演時(江戸・元禄時代)、人形の操作方法は現在の「三人遣い」と違って「一人遣い」によるものでした。本公演で復活する「観音廻り」において、桐竹勘十郎が一人遣いに挑戦。主人公である「お初」の一人遣い人形を新たに制作し、これに挑みます。なお、人形制作にあたっては、フランスを代表するメゾン、エルメスのご協力により、スカーフを用いたコンテンポラリーな衣裳が実現いたしました。

    <桐竹勘十郎(きりたけ かんじゅうろう)プロフィール>
    1953年大阪生まれ。人形浄瑠璃文楽座・人形。父は人間国宝の人形遣い二世桐竹勘十郎(86年歿)。1968年、三世吉田簑助に師事し、吉田簔太郎と名乗る。1995年に芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。2003年に父の名跡を継いで三世桐竹勘十郎を襲名。2008年に芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章受賞。2010年に日本芸術院賞受賞。

  5. 「観音廻り」では、現代美術作家・束芋の映像作品がスクリーンに登場
    伝統芸能と現代美術が見事に融合。桐竹勘十郎が操る一人遣いの「お初」の舞(「観音廻り」)の背景には、束芋のオリジナル映像作品が華を添えます。

    <束芋プロフィール>
    1975年兵庫生まれ。1999年、大学の卒業制作として制作したアニメーションによる映像インスタレーション《にっぽんの台所》が、キリンコンテンポラリー・アワード1999最優秀作品賞を受賞。2001年第1回横浜トリエンナーレで最年少の作家として出品。以後、2002年サンパウロ・ビエンナーレ2006年シドニー・ビエンナーレ、2011年、ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家になるなど数々の国際展やグループ展で活躍。今もっとも注目を集めている映像インスタレーション作家。主な個展として、2006年「ヨロヨロン」、原美術館(東京)、「TABAIMO」、カルティエ現代美術財団(2009-2010年「断面の世代」、横浜美術館(神奈川)/国立国際美術館(大阪)開催。2014年MCAシドニーで大規模個展予定。