杉本文楽 曾根崎心中

2 ストーリー

『曾根崎心中』とは…

元禄16年(1703年)4月7日、醤油屋平野屋の手代徳兵衛と堂島新地の遊女お初が梅田曾根崎天神の森で心中をとげる。大坂中で話題となった事件から一ヶ月後、近松門左衛門はこの事件を『曾根崎心中付り観音廻り』として脚色、人形浄瑠璃の芝居に仕立て、大阪竹本座で上演。公演は空前の大成功を収め、当時竹本座の抱えていた借財を一挙に返済できるほどの集客を得た。そして『曾根崎心中』は世上の出来事を作品化した「世話物」と呼ばれるジャンルの記念すべき第一作となった。

ストーリー

大坂の醤油商「平野屋」の手代・徳兵衛は、色茶屋「天満屋」の遊女お初の馴染客であり、客と遊女の関係を超えた相思相愛の仲でもあった。

いずれお初を身請けし、妻に迎えようと考えている徳兵衛だったが、徳兵衛の叔父でもある平野屋の主人は二人の関係を知りつつ、徳兵衛を見込むあまり、姪と祝言を上げさせ、自身の跡取りとすることを画策。徳兵衛の継母に結納金を握らせ、強引に話を進めようとする。

しかし頑なに固辞する徳兵衛に、平野屋の主人は「ならば金を返せ。二度と大坂の地は踏ませない」と勘当を言い渡す。やっとのことで継母から金を取り返した徳兵衛だが、どうしても金が要るという友人の油屋・九平次に、3日限りの約束で平野屋への返済用の金を貸してしまう。

期日になっても九平次から返済は無く、それどころか九平次は公衆の面前で徳兵衛を詐欺師呼ばわりした挙句、五人がかりで袋叩きにして面目を失わせてしまう。もはや徳兵衛は死んで身の証を立てるほか、名誉を回復する手段はない。

その夜、天満屋を訪れた徳兵衛に、覚悟を察したお初。二人は真夜中に手を取り合って露天神の森へ向かった……。