杉本文楽 曾根崎心中

7 プロダクションノート

2011年8月 3日

人形九平次の首(かしら)が完成しました。

『杉本文楽 曾根崎心中』の見どころのひとつが油屋九平次の新演出。

現行曲の「曾根崎心中」では、九平次の首(かしら)は、
通常身分のあまり高くない役―悪侍や奴、悪番頭、
いやみな端敵役での登場が多い「陀羅助(だらすけ)」が用いられます。
現行曲の九平次は、陀羅助に象徴されるように、
見るからに悪役と設定されているのです。
 
しかし『杉本文楽 曾根崎心中』では、この九平次のイメージを変えました。
徳兵衛と兄弟同然の友人関係にある九平次は、
徳兵衛同様にちょっといい男に違いない
―そんな斬新な演出で首を新たに制作したのです。

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↑ 新たに制作された九平次首(かしら)


冷静に計算高く人を騙す......。
徳兵衛への非道な振舞いは、あるいはお初への恋のさや当てなのかもしれません。


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新しい首(かしら)を囲んで記念撮影。左、九平次役の吉田幸助さん、右、杉本博司